統合効果も創業家の位置づ けも中途半端だ。

夏恋のおしゃべり…第一は創業家への説得を粘り強く続けることだ。
合併をめ ざすのは、石油各社が疲弊する過当競争を脱し収益力を高めるため。
創業家にとっても日本の石油産業のためにも必要だと正攻法で説得する。
創業家側には合併で存在感が薄れるとの懸念があるとみられる。
だが、この懸念に応じる具体的な提案は現時点では難しい。
現在は公正取引委員会による審査の最中で、合併後の詳細を協議できないからだ。
創業家の中核である出光昭介氏は月岡社長より5代も前の社長。
現役でじっくり話せる人は少ないのも課題だ。
説得は長期化が予想されるが、時間的な制限もある。
出光は公取の審査を待ち9月にも昭シェル株の約33%を英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから買い取ることが決まっている。
合併できないと昭シェルをグループ化するだけの不十 分な形になる。
来年4月の合併には年内に臨時株主総会を開く必要があり、その準備を考えれば秋が最終期限だ。
説得が進まないまま統合をめざすなら創業家の主張に配慮するか、全面対決するかを決める必要がある。
配慮なら昭シェルをTOBで子会社化する方法がある。
これなら出光家の持ち株比率は下がらないが、対等の精神での統合を約束した昭シェルの反発は必至だ。
全面対決を選ぶのであれば、第三者割当増資が浮上する。
創業家の持ち株比率を全体の3分の1以下に下げれば、株主総会で合併議案が否決されることはない。
だが、合併後に創業家とのしこりを抱えたままになる。
折衷案で持ち株会社を新設し、両社を傘下にぶら下げる方法もあるが、統合効果も創業家の位置づ けも中途半端だ。